
新宿オークタワー歯科クリニックです。
インビザライン矯正を始められたばかりの方や、治療中に「もしかして口臭が気になるかも?」と感じている方へ。歯並びを整えるためのインビザライン治療中に口臭が発生しやすくなるのは、多くの方が経験するお悩みです。しかし、ご安心ください。口臭の原因を正しく理解し、適切なケアを行うことで、この不安は十分に解消できます。この記事では、インビザライン矯正中に口臭が起きやすい主な原因から、放置することの具体的なリスク、そして日中から就寝時にかけて実践できる効果的な対策、さらにはマウスピースの正しい洗浄・保管方法までを網羅的に解説します。この記事を読み終える頃には、口臭の心配なく、自信を持って矯正治療を進めるための具体的な方法が身についているはずです。
なぜインビザライン矯正中は口臭が起きやすい?3つの主な原因
インビザライン矯正中に口臭が気になるのは、多くの方が経験するお悩みの一つです。口臭対策を効果的に行うためには、まずその原因を正しく理解することが何よりも重要となります。このセクションでは、インビザライン矯正中に口臭が発生しやすくなる主な原因として、「唾液の作用低下」「マウスピース自体の汚れ」「口腔内の乾燥」という3つのポイントについて詳しく解説します。ご自身の状況と照らし合わせながら読み進めていただくことで、適切な対策を見つける手助けとなれば幸いです。
原因1:唾液の循環が妨げられ、細菌が繁殖しやすくなる
私たちの口の中では、唾液が非常に重要な役割を担っています。唾液には、口内の食べかすを洗い流したり、細菌の増殖を抑えたりする「自浄作用」や「殺菌作用」があります。健康な口腔内では、唾液が常に循環することで、これらの作用が働き、口臭の原因となる細菌の繁殖を抑えているのです。
しかし、インビザライン矯正中にマウスピースを装着すると、この唾液の自然な循環が阻害されやすくなります。マウスピースが歯の表面全体を覆ってしまうため、歯とマウスピースの間に唾液が十分にいきわたらず、まるで密閉された空間のようになってしまうためです。この状態が長時間続くと、唾液による自浄作用が低下し、口の中に食べかすや細菌が停滞しやすくなります。
結果として、口臭の主な原因となる嫌気性細菌が繁殖しやすい環境が作られてしまいます。これらの細菌は、口の中のタンパク質を分解する際に、揮発性硫黄化合物(VSC)というガスを発生させ、これが不快な口臭の元となるのです。インビザラインによる矯正治療中は、この唾液の循環阻害が口臭発生の大きな要因の一つとなります。
原因2:マウスピース(アライナー)自体の汚れ
インビザライン矯正中の口臭は、口腔内の問題だけでなく、マウスピース(アライナー)そのものの清掃が不十分であることからも発生します。どんなに丁寧に歯磨きをしても、汚れたマウスピースを装着していては口臭は改善されません。このセクションでは、マウスピースにどのような汚れが付着し、それが口臭にどのように影響するのか、具体的な原因について詳しく見ていきましょう。
磨き残しや食べかすの付着
インビザライン矯正中に口臭が発生する原因の一つとして、マウスピースへの磨き残しや食べかすの付着が挙げられます。食事の際にマウスピースを外し、食後に歯磨きをしないまま、あるいは不十分な歯磨きで再びマウスピースを装着してしまうと、歯とマウスピースの間に食べかすやプラーク(歯垢)が閉じ込められてしまいます。
この密閉された空間は、細菌にとって格好の繁殖場所となります。特に、ポリウレタン製のマウスピースは、その素材特性上、臭いを吸着しやすい性質があるため、一度細菌が繁殖し始めると、強い口臭の原因となるガスを発生させやすくなります。食べかすやプラークが長時間滞留することで、細菌は急速に増殖し、アンモニアや硫化水素などの口臭成分を大量に作り出してしまうのです。
したがって、インビザライン矯正中は、食事のたびにマウスピースを外し、食後は必ず丁寧に歯磨きをしてから再装着することが、口臭予防のための非常に重要な習慣となります。この日々のケアを怠ると、マウスピース自体が口臭の発生源となってしまうため注意が必要です。
唾液による石灰化(歯石)や着色汚れ
マウスピース(アライナー)が口臭の原因となるもう一つの要因は、唾液に含まれるミネラル成分による石灰化、いわゆる歯石のようなものが付着することと、着色汚れです。唾液中のカルシウムやリン酸などのミネラル成分が、マウスピースに徐々に沈着し、時間とともに硬化して石灰化(歯石化)を引き起こします。この石灰化した部分は表面がざらざらになり、そこにさらに細菌や汚れが付着しやすくなるため、口臭の原因となる細菌の温床となってしまいます。
また、コーヒーや紅茶、ワインなどの色の濃い飲み物、あるいはタバコのヤニなどは、マウスピースに「着色汚れ」として付着します。これらの着色汚れは見た目の問題だけでなく、その表面に細菌が付着しやすく、やはり口臭の原因菌が繁殖する足場となってしまうのです。一度着色が付くと、マウスピースの透明感が失われるだけでなく、衛生状態も悪化し、不快な臭いを放つ原因となります。
石灰化や着色汚れは、日々の簡単な水洗いだけでは完全に除去することが難しく、専門的なケアが求められる場合もあります。これらの汚れを放置することは、審美的な問題だけでなく、口臭の悪化や口腔内の衛生状態の低下につながるため、適切なマウスピースのお手入れが不可欠です。
原因3:口腔内の乾燥(ドライマウス)
インビザライン装着中の口臭は、「口腔内の乾燥(ドライマウス)」も大きな原因となります。マウスピースは歯にぴったりと密着しているため、その厚みによって無意識のうちに口が完全に閉じにくくなることがあります。これにより、口呼吸になりやすくなり、口の中の水分が蒸発しやすくなってしまうのです。
唾液には、口の中を洗い流す自浄作用や、細菌の増殖を抑える殺菌作用があります。しかし、口腔内が乾燥して唾液の量が減少すると、これらの重要な作用が弱まります。結果として、口臭の原因となる細菌が繁殖しやすい環境が作られてしまい、口臭が悪化するという悪循環に陥ります。
特に営業職などで、日常的に人と接して会話する機会が多い方は注意が必要です。会話中は口が開いている時間が長く、さらに緊張などから口が乾燥しやすくなります。インビザラインを装着していると、この乾燥がさらに加速され、日中の口臭リスクが非常に高まる可能性があります。口腔内の乾燥は、口臭だけでなく、虫歯や歯周病のリスクも高めるため、意識的な対策が求められます。
要注意!インビザライン中の口臭を放置するリスク
インビザライン矯正中の口臭は、単なるエチケットの問題として軽視されがちですが、実は口腔内の健康状態を示す重要なサインです。口臭の原因となる細菌が活発に活動している証拠とも言えます。もし「たいしたことない」と放置してしまうと、矯正治療の成果に悪影響を及ぼしたり、より深刻な口腔内のトラブルを引き起こしたりするリスクがあることをご存知でしょうか。このセクションでは、口臭を放置することで起こりうる「虫歯・歯周病リスクの増大」と「マウスピースの劣化」という二つの具体的なリスクについて詳しく解説し、その危険性について警鐘を鳴らします。
虫歯や歯周病のリスクが高まる
インビザライン矯正中に口臭を放置することは、虫歯や歯周病のリスクを大幅に高めることに直結します。口臭の主な原因は、お口の中に潜む細菌が食べかすや剥がれ落ちた粘膜を分解する際に発生する揮発性硫黄化合物(VSC)です。これらの口臭の原因菌は、実は虫歯菌や歯周病菌そのものである場合がほとんどです。
インビザラインのマウスピースを装着していると、歯が常にマウスピースで覆われた状態になります。この密閉された環境では唾液の自浄作用が働きにくく、細菌が歯や歯茎に長時間密着しやすくなります。口臭の原因となる細菌が歯に密着し続けると、酸を産生して歯の表面を溶かし、虫歯の発生・進行を促進します。また、歯茎に炎症を引き起こし、歯周病を悪化させる可能性も高めます。矯正治療を成功させるためには、歯と歯茎の健康が不可欠です。口臭を放置することは、単に不快なだけでなく、矯正治療の計画を狂わせ、最終的に新たな歯科疾患を招く危険性があることを理解しておく必要があります。
マウスピースの変色や劣化につながる
口臭の原因となる細菌の増殖や汚れの付着は、インビザラインのマウスピース自体にも悪影響を及ぼします。本来透明であるはずのマウスピースが、細菌の繁殖や、食べかす、唾液中のミネラル、コーヒーやワインといった着色性のある飲食物の付着により、黄ばんだり、曇ったりすることがあります。これにより、インビザラインの大きなメリットである「目立ちにくさ」が損なわれ、審美性が低下してしまいます。
さらに、不適切なケアや口臭の原因菌が産生する酸は、マウスピースの素材であるポリウレタンを徐々に劣化させます。その結果、マウスピースが変形したり、ひび割れや破損が生じたりする可能性もあります。マウスピースが変形すると、歯に適切な力がかからなくなり、矯正治療の計画が滞るばかりか、作り直しが必要になることもあります。これは治療期間の延長や費用の増加にもつながりかねません。マウスピースを清潔に保つことは、口臭予防だけでなく、治療を計画通りに進めるためにも極めて重要なのです。
【シーン別】今日から実践できるインビザライン口臭対策
これまでインビザライン矯正中の口臭の原因や放置するリスクについて詳しく解説してきましたが、ここからは日々の生活の中で実践できる具体的な口臭対策をご紹介します。職場で人と接する機会が多い方や、外出先でのケアに悩んでいる方もご安心ください。「基本の口腔ケア」はもちろん、「日中・外出先でのケア」や「就寝前のスペシャルケア」といったシーン別に、手軽に取り組める方法を分かりやすく解説していきます。これらの対策を実践することで、口臭の不安を解消し、自信を持ってインビザライン治療を続けていけるようになるでしょう。
基本となる毎日の口腔ケア
インビザライン矯正中に気になる口臭の根本的な解決には、毎日の地道なケアが欠かせません。特別な製品を使うことよりも、日々の習慣をいかに丁寧に行うかが非常に重要になります。ここでは、口臭対策の基本となる「歯磨きと歯間ケア」そして見落とされがちな「舌ケア」の2つの柱について、その重要性と具体的な方法を詳しくご紹介します。ご自身のケア習慣を見直すきっかけにしてください。
食後の歯磨きと歯間ケアの徹底
インビザライン矯正における口臭対策で最も重要なルールは、食事の際にマウスピースを外し、食後は必ず歯磨きをしてから再装着することです。食後に歯磨きをせずにマウスピースを装着すると、食べかすや細菌が密閉された空間に閉じ込められ、繁殖を促して口臭の大きな原因となります。歯の表面だけでなく、歯と歯茎の境目、そして歯が重なっている部分やアタッチメントの周りなど、プラーク(歯垢)が溜まりやすい場所を特に意識して丁寧に磨きましょう。
また、歯ブラシだけでは届かない歯と歯の間の汚れを除去するために、デンタルフロスや歯間ブラシの使用は必須です。フロスは歯と歯の隙間にゆっくりと挿入し、歯の側面をこすり上げるようにして汚れを絡め取ります。歯間ブラシは、ご自身の歯間サイズに合ったものを選び、優しく挿入して前後に動かして清掃します。これらの歯間ケアを毎食後、または少なくとも就寝前には必ず行うことで、細菌の増殖を効果的に抑え、口臭の発生を予防することができます。
舌苔(ぜったい)の除去も忘れずに
口臭の原因として意外と見落とされがちなのが、舌の表面に付着する「舌苔(ぜったい)」です。舌苔は、食べかすや剥がれた粘膜の細胞、そして口臭の原因となる細菌の塊であり、口臭の発生源の約6割を占めるとも言われています。特にインビザライン装着中は唾液の自浄作用が低下しやすいため、舌苔が厚くなりやすい傾向があります。この舌苔を適切に除去することが、効果的な口臭対策につながります。
舌苔の除去には、舌専用のクリーナー(舌ブラシや舌ヘラ)を使用しましょう。毛先の柔らかい歯ブラシでも代用できますが、舌専用のものの方が舌を傷つけにくく効果的です。使用する際は、舌の奥から手前に向かって優しく数回かき出すように清掃します。ゴシゴシと力を入れすぎると舌を傷つけ、味覚障害の原因となることもあるため注意が必要です。1日1回、朝の歯磨き時に行うのがおすすめです。毎日続けることで、口臭の軽減を実感できるでしょう。
日中・外出先でのケア
営業職で外出が多く、仕事中に頻繁に歯磨きをするのが難しいと感じる方は少なくないでしょう。しかし、日中のケアを怠ると、口臭のリスクは高まってしまいます。ここでは、職場や外出先など、自宅のようにじっくりとケアができない状況でも、手軽に実践できる効果的な口臭対策をご紹介します。「こまめな水分補給」と「マウスウォッシュの活用」という2つの方法で、口内環境を清潔に保ち、口臭の不安を軽減しましょう。
こまめな水分補給で口内を潤す
インビザライン矯正中は、マウスピースの厚みによって口が閉じにくくなったり、無意識に口呼吸になったりすることで、口の中が乾燥しやすくなります。口の乾燥(ドライマウス)は、唾液の自浄作用や殺菌作用を低下させ、口臭の原因菌が繁殖しやすい環境を作り出してしまいます。これを防ぐために、日中を通してこまめに水分を補給することが非常に重要です。
水を飲むことで口内に潤いを与え、唾液の分泌を促す効果が期待できます。唾液が増えれば、口臭の原因菌を洗い流し、その増殖を抑制することができます。カフェインを含むコーヒーやお茶、糖分や酸を含むジュースやスポーツドリンクは、かえって口内を乾燥させたり、虫歯のリスクを高めたりする可能性があるため、できるだけ「水」を選びましょう。特に、会話が多い日やエアコンなどで空気が乾燥している環境では、意識的に水分を摂るように心がけてください。
歯磨きができない場合はマウスウォッシュを活用
外出先で歯磨きをする時間がない、あるいは場所がないといった場合、応急処置としてマウスウォッシュを活用するのも一つの方法です。しかし、インビザラインユーザーがマウスウォッシュを選ぶ際には、いくつかの注意点があります。アルコールを多く含む製品は、口内を乾燥させてしまうことがあり、かえって口臭を悪化させる可能性もあるため、必ず「アルコールフリー」のマウスウォッシュを選びましょう。
マウスウォッシュは、口臭の原因菌を一時的に抑制し、口の中をリフレッシュする効果があります。ただし、マウスウォッシュはあくまで補助的なケアであり、歯磨きの代わりにはなりません。食べかすやプラークを物理的に除去することはできないため、帰宅後や次の食事の後には必ず丁寧に歯磨きと歯間ケアを行いましょう。携帯に便利な小さいサイズの製品を用意しておくと、外出先でも手軽に口臭ケアができて安心です。
就寝前のスペシャルケア
一日のうちで最も口臭のリスクが高まるのは、実は就寝中です。睡眠中は唾液の分泌量が大幅に減少し、口の中が乾燥しやすくなるため、細菌が繁殖しやすい環境になります。そのため、寝る前に行うケアは、翌朝の口臭を大きく左右する重要な時間と言えます。ここでは、インビザラインを装着したまま長時間過ごす就寝中に備え、口腔内の清潔を保つための「一日の汚れをリセットする丁寧なケア」について解説します。この時間を有効活用して、口臭の不安なく朝を迎えられるようにしましょう。
一日の汚れをリセットする丁寧なケア
就寝前は、日中に溜まった口の中の汚れを徹底的に除去し、一日の終わりをクリーンな状態にする「スペシャルケア」の時間です。このケアを丁寧に行うことで、睡眠中の細菌の繁殖を抑え、翌朝の口臭を大幅に軽減することができます。
具体的には、まず時間をかけて丁寧に歯磨きを行い、歯の表面はもちろん、歯と歯茎の境目、アタッチメントの周りまで磨き残しがないようにしましょう。次に、デンタルフロスや歯間ブラシを使って、歯ブラシでは届かない歯間の汚れやプラークを確実に除去します。さらに、舌苔のケアも忘れずに行いましょう。舌クリーナーで優しく舌苔を取り除くことで、口臭の大きな原因となる細菌の塊を取り除けます。
そして、最も重要なのが、長時間装着することになるマウスピースの洗浄です。マウスピース専用の洗浄剤や超音波洗浄機を用いて、マウスピース自体も徹底的に清潔な状態にしてから装着し、就寝するようにしましょう。口腔内とマウスピースの両方をクリーンな状態にすることで、睡眠中の口臭リスクを最小限に抑えることができます。
マウスピース(アライナー)の正しい洗浄・保管方法
インビザライン治療中の口臭対策において、口腔内を清潔に保つことと同じくらい重要になるのが、マウスピース(アライナー)自体のお手入れです。どんなに丁寧に歯磨きをして口の中をきれいにしても、汚れたマウスピースを装着してしまっては、口臭の原因菌を口腔内に閉じ込めてしまうことになり、口臭の発生を抑えることはできません。
このセクションでは、毎日の基本となる洗浄方法から、週に数回行うことでより効果を高めるスペシャルケア、さらにはマウスピースを傷つけたり劣化させたりするNGな手入れ方法、そして清潔な状態を保つための正しい保管方法まで、マウスピースを常に衛生的に保つための具体的なノウハウを詳しくご紹介します。
毎日の基本洗浄:指や柔らかい歯ブラシで水洗い
マウスピースを毎日清潔に保つための基本は、外すたびに「流水下で洗浄する」ことです。食事の前にマウスピースを外したら、すぐに水で洗い流す習慣をつけましょう。これは、付着した唾液や汚れが乾燥して固着するのを防ぐ上で非常に重要です。
洗浄する際は、指の腹を使って優しくこすり洗いするか、またはマウスピース専用の柔らかい歯ブラシを使用して、内側と外側の両面を丁寧に磨きます。歯磨き粉には研磨剤が含まれていることが多いため、必ずマウスピース専用のブラシか、毛先の柔らかい歯ブラシを使い、研磨剤が入っていない中性洗剤を使用すると良いでしょう。また、マウスピースの変形を防ぐため、熱湯ではなく、必ずぬるま湯か水を使用することが肝心です。
週に数回のスペシャル洗浄:専用洗浄剤や超音波洗浄機
日々の水洗いに加えて、週に数回はより徹底した除菌・消臭を行うためのスペシャルケアを取り入れることをおすすめします。一つ目は、「専用の洗浄剤」を使用する方法です。市販の入れ歯洗浄剤の中には、マウスピースの素材に合わないものもあるため、必ず矯正用リテーナー専用の製品を選びましょう。製品に記載されている指示に従い、適切な時間浸け置きすることで、目に見えない細菌やしつこい臭いを効果的に除去できます。
二つ目は、「超音波洗浄機」の活用です。超音波洗浄機は、微細な振動によって水中に無数の気泡を発生させ、その気泡が弾ける力で、ブラシでは届きにくいマウスピースの細かい傷や凹凸の奥に潜む汚れまで効果的に除去します。これにより、より高い衛生状態を保つことができ、口臭の発生を強力に抑制することが期待できます。特に、徹底的に清潔さを保ちたい方には有効な選択肢となるでしょう。
やってはいけないNGなお手入れ方法
マウスピースの清潔さを保とうとするあまり、かえってマウスピースを傷つけたり、劣化させたりしてしまう間違ったお手入れ方法があります。これらのNG行為を避けることが、マウスピースを長持ちさせ、衛生的に使用するために非常に重要です。
まず、絶対にしてはいけないのが「歯磨き粉で磨く」ことです。一般的な歯磨き粉に含まれる研磨剤は、マウスピースの表面に目に見えない小さな傷をつけてしまいます。この傷に細菌や汚れが溜まりやすくなり、かえって口臭の原因になったり、マウスピースの透明感を損ねたりする原因となります。次に、「熱湯で消毒する」ことも避けてください。マウスピースの素材は熱に弱く、熱湯に触れると変形したり、ひび割れたりする恐れがあります。変形したマウスピースでは矯正効果が損なわれるだけでなく、装着時に痛みが生じることもあります。
また、「アルコール含有の洗浄液や漂白剤を使用する」のもNGです。これらの成分はマウスピースの素材を劣化させ、変色や破損を引き起こす可能性があります。特に、塩素系漂白剤はマウスピースを黄ばませたり、素材を脆くしたりすることがあります。これらの間違ったお手入れは、結果的に細菌の温床を作り出し、口臭を悪化させるリスクがあるため、必ず避けるようにしてください。
清潔に保つための保管のポイント
マウスピースを装着していない時間帯も、正しい方法で保管することが非常に重要です。最も基本的なルールは、「必ず専用のケースで保管する」ことです。食事中などにマウスピースを外した際、ティッシュに包んでそのままテーブルに置いたり、ポケットに入れたりすると、誤って捨ててしまったり、破損したり、ホコリや細菌が付着したりするリスクが高まります。
専用ケースに入れる前には、必ずマウスピースを洗浄し、可能であれば清潔な布で軽く拭いて乾燥させてから収納しましょう。濡れたままケースに入れると、雑菌が繁殖しやすくなる原因となります。また、マウスピースだけでなく、保管ケース自体も定期的に洗浄し、清潔に保つことが大切です。外出時には、携帯に便利なコンパクトな専用ケースを用意しておくと、いつでも衛生的に保管できて安心です。
セルフケアで改善しないときは歯科医院へ相談を
これまでお伝えしたセルフケアを毎日実践しても、口臭がなかなか改善されないと感じる方もいらっしゃるかもしれません。口臭は非常にデリケートな問題であり、ご自身で原因を特定し、完全に解消することは難しい場合もあります。一人で悩みを抱え込まず、専門家である歯科医師に相談することが、解決への最も確実な一歩となります。
セルフケアには限界があることを理解し、口臭の背景にはご自身では気づけない、より深い原因が隠れている可能性も考慮に入れることが大切です。歯科医院では、専門的な知識と器具を用いて口臭の原因を詳細に調べ、適切な診断と治療を提案してくれます。安心してご相談ください。
定期的なプロフェッショナルクリーニングの重要性
インビザライン治療中に限らず、口腔衛生を維持し口臭を予防する上で、歯科医院での定期的なプロフェッショナルクリーニングは非常に重要です。毎日の丁寧な歯磨きやフロスケアも大切ですが、セルフケアだけでは完全に除去できない汚れが存在します。特に、時間の経過とともに硬くなった歯石や、インビザラインのアタッチメント周辺に蓄積しやすいプラークは、口臭の大きな原因となります。
歯科医師や歯科衛生士は、専門的な器具を使い、ご自身では届かない部分や見落としがちな汚れを徹底的にクリーニングしてくれます。これにより、口臭の根本原因を効果的に取り除くだけでなく、虫歯や歯周病の早期発見、さらには進行予防にもつながります。定期的にプロフェッショナルなケアを受けることで、常に清潔な口腔環境を保ち、口臭の不安を軽減できるでしょう。
矯正治療以外の原因も考えられる
もしセルフケアやプロフェッショナルクリーニングを継続しても口臭が改善されない場合、その原因は必ずしもインビザラインや口腔内の問題だけではない可能性も考慮する必要があります。頑固な口臭の背景には、口腔内以外の病気が関連しているケースも少なくありません。
例えば、副鼻腔炎(蓄膿症)などの耳鼻咽喉科系の疾患や、逆流性食道炎などの消化器系の疾患が口臭を引き起こすことがあります。また、糖尿病などの全身疾患が口臭として現れるケースもあります。まずは歯科医院で口腔内に問題がないかを確認してもらい、もし口腔内に明らかな原因が見つからない場合は、必要に応じて耳鼻咽喉科や内科など、他科の専門医への紹介を依頼し、適切な診断を受けることが大切です。
まとめ:正しいケアで口臭の不安を解消し、快適なインビザライン生活を
インビザライン治療中に口臭が気になるというのは、多くの方が経験されるお悩みです。しかし、ご安心ください。本記事でご紹介した「口腔内の徹底した清掃」「マウスピースの正しいお手入れ」「十分な水分補給」「そして定期的なプロフェッショナルケア」を実践することで、口臭のリスクを十分に管理し、快適なインビザライン生活を送ることが可能です。
口臭の不安は、日々の生活や仕事における自信にも影響を与えかねません。正しい知識と適切なケアを身につけることで、その不安から解放され、よりポジティブな気持ちで矯正治療に取り組んでいただければ幸いです。もしセルフケアで改善が見られない場合は、迷わず歯科医院にご相談ください。専門家による適切なアドバイスとサポートが、あなたの矯正治療をより確実で心地よいものへと導いてくれるでしょう。
少しでも参考になれば幸いです。
自身の歯についてお悩みの方はお気軽にご相談ください。
本日も最後までお読みいただきありがとうございます。
監修者
東京歯科大学卒業後、千代田区の帝国ホテルインペリアルタワー内名執歯科・新有楽町ビル歯科に入職。
その後、小野瀬歯科医院を引き継ぎ、新宿オークタワー歯科クリニック開院し現在に至ります。
また、毎月医療情報を提供する歯科新聞を発行しています。
【所属】
・日本放射線学会 歯科エックス線優良医
・JAID 常務理事
・P.G.Iクラブ会員
・日本歯科放射線学会 歯科エックス線優良医
・日本口腔インプラント学会 会員
・日本歯周病学会 会員
・ICOI(国際インプラント学会)アジアエリア役員 認定医、指導医(ディプロマ)
・インディアナ大学 客員教授
・IMS社VividWhiteホワイトニング 認定医
・日本大学大学院歯学研究科口腔生理学 在籍
【略歴】
・東京歯科大学 卒業
・帝国ホテルインペリアルタワー内名執歯科
・新有楽町ビル歯科
・小野瀬歯科医院 継承
・新宿オークタワー歯科クリニック 開院
新宿区西新宿駅徒歩4分の歯医者・歯科
『新宿オークタワー歯科クリニック』
住所:東京都新宿区西新宿6丁目8−1 新宿オークタワーA 203
TEL:03-6279-0018




















