新宿オークタワー歯科クリニックです。
過蓋咬合に不安や疑問を抱く人は、実は少なくないでしょう。
とりわけ、笑顔を見せたり人前で話したりする場面で気になってしまうケースが目立ちます。
歯科医院でも過蓋咬合に関する相談は後を絶たず、適切な知識と受診のタイミングが要になると言われています。
この記事では、過蓋咬合の基礎知識や原因、改善方法を分かりやすく整理しました。
最後までご覧いただくことで、ご自身やご家族の噛み合わせに対する不安を軽減し、安心して適切なケアに取り組めるようになるはずです。
歯ぐきと歯周組織に及ぶ影響
重度の過蓋咬合では、下の前歯が上顎の歯ぐきに強く触れてしまい、歯ぐきを傷めたり炎症を起こすおそれがあります。
その状態が続くと、歯ぐきが下がる(退縮する)ほか、歯周組織にもダメージが及ぶ可能性があります。
結果として歯周病のリスクが上がり、将来的に歯を失う原因となることも否定できません。
顎関節にかかる影響
過蓋咬合は顎関節に大きな負荷をかけやすい噛み合わせです。
噛み合わせが深いことで顎の動きが制限され、関節に過度な力が集中すると、口を開閉する際の音や痛み、開きづらさといった顎関節症状を招く場合があります。
こうした負担は、肩こりや頭痛など、離れた部位の不調につながるケースも珍しくありません。
そのほか全身に出る不調
過蓋咬合による影響は口の中だけに留まりません。
噛むバランスが崩れると食物を十分に細かくできず、結果的に消化器系へ余計な負荷がかかります。
また、発音がしづらくなったり、口を閉じにくいことで口呼吸の習慣が付き、感染症にかかりやすくなるリスクも高まります。
さらに、咬筋に不要な力が入るとエラ張りが強調されるなど、見た目の面でもデメリットが生じることがあります。
過蓋咬合の治療方法
過蓋咬合を改善するには、歯科医院で受ける専門的な治療が欠かせません。
治療は見た目の改善だけでなく、将来的な口腔の健康を守り、全身への悪影響を防ぐことも目指しています。
治療の目的
治療の第一の狙いは、上下の歯が正しく咬み合う状態を作り出すことです。
前歯の重なりを適正な範囲に戻し、奥歯も含めた咬合バランスを整えます。
それにより、歯や顎への過度な負担を減らし、将来的な摩耗・破折・歯周病・顎関節症などのリスクを抑えることができます。
また、審美面の向上や咀嚼、発音機能の改善も大切な役割を担います。
治療の具体策
過蓋咬合の治療には複数の方法が存在し、患者さんの年齢・口腔状態・程度によってベストな選択肢が変わります。
中心となるのは矯正治療ですが、症例によっては他の手法を組み合わせることもあります。
ワイヤー矯正
ワイヤー矯正は、歯面にブラケットを装着しワイヤーで力をかけながら段階的に歯を移動させるスタンダードな矯正方法です。
過蓋咬合でも汎用され、複雑な症例にも対応しやすく、歯の角度や位置を細やかにコントロールできます。
奥歯の高さを整えたり、前歯を歯ぐき側へ移動させたりして、過度に深い咬み合わせを是正します。
費用はおおむね60万〜130万円が目安ですが、症例の複雑さや装置の種類で前後します。
治療期間は症例によって差がありますが、一般的には1年半から3年程度かかる場合があります。
マウスピース矯正
マウスピース矯正は、透明なアライナーを装着して歯を移動させる方法です。
装置が目立ちにくいので、審美性を重視する方に人気があります。
症状によってはアライナーのみで対応でき、バイトランプなどの補助装置を併用して奥歯の沈下を防ぎつつ前歯の咬み合わせを整えることもあります。
適応は軽度〜中等度が中心ですが、重症例ではワイヤー矯正との併用が推奨されることもあります。
費用はおおよそ30万〜100万円が目安です。
治療期間は1〜2年ほどが一般的ですが、アライナーの装着時間により前後する場合があります。
外科矯正
骨格的要因が強い重度過蓋咬合では、外科的矯正が選択肢になることがあります。
顎の骨を外科的に移動させる手術と歯列矯正を組み合わせ、骨格的不正を根本から修正する方法です。
条件を満たせば保険が適用されることもありますが、入院が必要になるなど負担は比較的大きくなります。
骨格のズレが大きく、矯正だけでは改善が困難な症例で検討される治療法です。
その他の装置
過蓋咬合では、ワイヤーやマウスピースに加え、補助装置を併用することがあります。
成長期のお子さんには、床矯正装置やバイオネーターなど取り外し可能な装置で顎の成長を誘導するケースがあります。
さらに、矯正用インプラント(アンカースクリュー)を一時的に骨に設置し、固定源として効率よく歯を動かす方法も活用されます。
こうした装置は、症例に合わせて治療計画に組み込まれます。
子どもの過蓋咬合治療
子どもの過蓋咬合は成長途中にあるため、大人とは異なる治療アプローチが取れます。
早く気づいて適切な時期に介入すれば、顎の正常発育を促し、症状を軽減または解消できる可能性が高まります。
治療のスタートは7歳前後が推奨されるケースが多いとされています。
3歳児健診でのチェック
過蓋咬合の兆候は、3歳児健診で指摘されることがあります。
この時期は乳歯列が完成した頃で、基礎的な咬み合わせを評価する大切なタイミングです。
健診で過蓋咬合の傾向があっても、直ちに矯正を始めるわけではなく、指しゃぶりなどの癖をチェックしながら経過観察を行うのが一般的です。
早い段階で気づくことで、その後の適切な対応につながります。
子どもの治療開始タイミング
子どもの過蓋咬合治療は、顎の成長が盛んな7歳前後が好ましいとされています。
この時期に介入することで、顎の発育をコントロールし、骨格的課題を改善できる可能性が高くなります。
永久歯へ生え変わる過程で顎のバランスを整えておけば、将来本格的な矯正が不要になったり、治療期間を短縮できたりすることがあります。
ただし、最適な開始時期は成長段階や原因によって異なるため、専門医の判断が欠かせません。
過蓋咬合を防ぐために
過蓋咬合は完全に防ぎきれない場合もありますが、日頃の習慣を見直し、歯科の早期チェックを受けることでリスクを下げ、悪化を防ぐことが可能です。
日常生活でできる予防策
過蓋咬合を予防・悪化させないためには、日頃の習慣が大きく影響します。
幼い頃からの指しゃぶりや舌押し、下唇を噛む癖などは早めに改善することが望まれます。
こうした癖は、歯や顎の成長に影響を及ぼす恐れがあります。
さらに、正しい姿勢を維持し、食事をよく噛んで摂る習慣も顎の健全な発育を助け、予防に役立ちます。
歯ぎしりや食いしばりがある場合には、ナイトガードなどのマウスピースを使うことが有効な対策となります。
専門家への相談を習慣に
過蓋咬合を予防し早期発見するには、歯科で定期的にプロのチェックを受けることが欠かせません。
とくに子どもの場合、保護者が気づきにくくても、歯科医師が専門的視点で噛み合わせを評価し、過蓋咬合の兆候やリスクを早期に見つけることが可能です。
必要に応じて、生活習慣の指導や早期矯正の提案など、状況に応じた予防的アドバイスを受けられます。
少しでも参考になれば幸いです。
自身の歯についてお悩みの方はお気軽にご相談ください。
本日も最後までお読みいただきありがとうございます。
監修者
東京歯科大学卒業後、千代田区の帝国ホテルインペリアルタワー内名執歯科・新有楽町ビル歯科に入職。
その後、小野瀬歯科医院を引き継ぎ、新宿オークタワー歯科クリニック開院し現在に至ります。
また、毎月医療情報を提供する歯科新聞を発行しています。
【所属】
・日本放射線学会 歯科エックス線優良医
・JAID 常務理事
・P.G.Iクラブ会員
・日本歯科放射線学会 歯科エックス線優良医
・日本口腔インプラント学会 会員
・日本歯周病学会 会員
・ICOI(国際インプラント学会)アジアエリア役員 認定医、指導医(ディプロマ)
・インディアナ大学 客員教授
・IMS社VividWhiteホワイトニング 認定医
・日本大学大学院歯学研究科口腔生理学 在籍
【略歴】
・東京歯科大学 卒業
・帝国ホテルインペリアルタワー内名執歯科
・新有楽町ビル歯科
・小野瀬歯科医院 継承
・新宿オークタワー歯科クリニック 開院
新宿区西新宿駅徒歩4分の歯医者・歯科
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