歯周病治療

歯周病とは何か?穏やかな静かな嵐

私たちの口の中で、静かに起こる嵐。それが歯周病です。しかし、多くの人々がその存在を知らず、また理解していないことが現状です。歯周病とは一体何なのでしょうか?ここでは、歯周病の基本的な定義とその進行プロセスについて、わかりやすく解説します。

歯周病の基本的な定義と説明

歯周病とは、口腔内の細菌により引き起こされる感染症で、最終的には歯の喪失をもたらす可能性がある病気です。歯を支える歯肉と骨に炎症を引き起こすため、歯がグラグラと動くようになり、最悪の場合、歯が抜け落ちてしまう可能性があります。
しかし、歯周病は口腔内だけでなく、全身にも影響を及ぼします。心臓病や糖尿病といった全身疾患との関連が指摘されており、口腔の健康が全身の健康にも影響を与えることがわかってきています。

歯周病が進行するプロセス

歯周病の進行プロセスは、次の3つのステージに分けることができます。

歯垢の形成毎日の食事で口腔内に食物の残渣が溜まると、細菌がこれを食べて歯垢(プラーク)を形成します。
歯肉炎歯垢がたまり続けると、歯肉が赤く腫れ、出血しやすくなる状態、これが歯肉炎です。この段階ではまだ逆転可能で、適切な口腔ケアと専門的なケアで症状は改善します。
歯周病放置すると、炎症は歯を支える骨にまで広がり、歯周ポケット(歯と歯肉の間にできる隙間)が深くなります。これが歯周病です。この段階では、プロのケアが必要となります。

歯周病は「静かな嵐」のように、気づかないうちに進行し、やがては大きなダメージをもたらします。しかし、この嵐を未然に防ぐための知識とツールは、我々にすでに与えられています。それは、正しい口腔ケアと、定期的な歯科検診です。あなた自身の口腔の健康を守るために、そして全身の健康を守るために、これらの重要性を十分に理解し、日々の生活に取り入れてください。

歯周病、虫歯は人からうつります

口を押える女性実はお口の中に細菌が存在しない状態では「歯周病・虫歯」は発生しません。生まれたばかりの赤ちゃんのお口の中には細菌は存在せず、人として生活をしていく中で、例えば母親のスプーンを介しての口移しでの食事、洗面台での歯ブラシの接触、キスなどの性交渉などを通じて、他者からの細菌が感染し、「歯周病・虫歯」になってしまうのです。つまりご家族や友人・パートナーが「歯周病・虫歯」に感染している場合、ご自身も細菌による感染リスクが存在しているのです。

歯周病菌、虫歯菌はとってもやっかい!

お口の中にいる細菌は自らが住みやすい環境を作り、集団になって歯の表面だけでなく、歯と歯ぐきの境目・舌・粘膜・鼻孔・のどなどに潜んでおり、その数は約700種類にのぼり、わずか1gの1000分の1の歯垢10億個以上の細菌がいるとされています。
この細菌の塊こそ「歯垢=プラーク」と呼ばれるものです。またプラークは、虫歯菌、歯周病菌、黄色ブドウ球菌、肺炎球菌、緑膿菌、インフルエンザ菌、レジオネラ菌など10億以上の細菌からなる「細菌集団」でもあり、その細菌同士がコミュニケーションを取り「デンタルバイオフィルム」を形成します。
一度「デンタルバイオフィルム」がお口の中に形成されると歯磨きなどではもちろん、抗生物質を服用しても十分に取り除くことが困難になります。体の免疫機構や抗菌剤に抵抗性を示すため、歯医者さんにとっても大変やっかいな存在になるのです。

歯周病の普及:口腔のパンデミック、その現状と影響

歯周病は口腔内だけでなく、全身に影響を及ぼす可能性のある深刻な問題です。それが私たちの社会、特に日本社会でどれほど普及しているのか、統計データを基に考えてみましょう。そして、歯周病がもたらす社会的影響と医療費用の問題についても、深く掘り下げていきます。

歯周病患者の統計データ

世界保健機関(WHO)の報告によれば、成人の約半数が何らかの形で歯周病を患っているとされています。日本では、厚生労働省の調査によれば、40歳以上の大人の8割以上が歯周病と診断されています。
これらの数字から明らかなように、歯周病は非常に普及した疾患であり、一部の人々だけの問題ではありません。年齢を問わず、全ての人々が潜在的なリスクを持っています。

社会的影響と医療費用の問題

歯周病が口腔内だけでなく、全身の健康に影響を及ぼすことが明らかになってきたことで、その社会的影響はますます深刻になっています。心臓病や糖尿病などの全身疾患との関連性が示されており、健康な生活を送るためには口腔の健康が欠かせないことが認識され始めています。

その一方で、歯周病の治療には大きな医療費が発生します。そして、それは患者様だけでなく、医療保険制度にも重い負担を与えています。さらに、進行した歯周病による歯の喪失は、患者様のQOL(生活の質)を大きく低下させ、日常生活に支障をきたす可能性もあります。

歯周病は、私たち一人一人の健康だけでなく、社会全体に影響を与える問題です。予防と早期発見、そして適切な治療が、個人の健康保持と社会的な医療費削減に繋がることを理解することが重要です。あなたの口腔健康が、あなた自身だけでなく、社会全体にも貢献することを忘れないでください。

歯周病の主な原因:微視鏡下の敵、プラークと生活習慣

歯周病の主な原因は何かと問われれば、答えは「プラーク」です。この微視鏡下の敵は、私たちが食事をするたびに口の中に形成され、放置すると歯周病を引き起こします。しかし、プラークだけが原因ではありません。生活習慣や体質も大きく影響します。ここでは、これらの要素を詳しく見ていきましょう。

プラーク形成の過程

プラークは、口の中に常に存在する細菌が、私たちが摂取する食べ物(特に砂糖)と結合することで形成されます。このプラークが歯に付着し、除去されないと硬化して歯石になります。歯石はさらにプラークが溜まりやすい場所となり、歯茎を炎症させ、歯周病の初期症状である歯肉炎を引き起こします。歯石が歯周ポケット(歯と歯肉の間の隙間)に侵入し、その中で細菌が増殖すると、歯周病は進行します。この段階になると、適切な治療が必要となります。

生活習慣と体質が歯周病に与える影響

プラークという敵は確かに存在しますが、それだけが全てではありません。実は、生活習慣や体質も歯周病の発症や進行に大きく影響します。
例えば、喫煙は歯周病のリスクを大幅に上げます。タバコの成分は口腔内の血流を悪化させ、免疫力を低下させ、歯周病の進行を早めます。また、不規則な食生活やストレス、不足した睡眠などの生活習慣も、口腔内環境を悪化させ、歯周病のリスクを高めます。
体質についても、例えば糖尿病患者は歯周病になりやすいと言われています。これは、高血糖状態が免疫機能を低下させ、歯周病の発症を助けるためです。歯周病は「口の中の問題」だけでなく、全身の健康とも密接に関連しています。日々の生活習慣を見直すことで、歯周病だけでなく、全身の健康維持にも繋がります。まずは、自分の生活習慣を見つめ直し、健康的な口腔環境作りに取り組みましょう。

歯周病の兆候:見逃しやすい初期症状に注目を

歯周病は「口の中の隠れた敵」とも言えます。その初期症状は非常に見逃しやすく、気付かないうちに進行してしまうことが多いのです。しかし、早期に発見し、早期に対策を取ることで、歯周病は防ぐことが可能です。ここでは、その初期症状について詳しく説明し、いつ歯医者に相談すべきかについてもお話します。

歯周病の初期症状について

歯周病の初期症状は、多くの場合、自覚症状がほとんどありません。しかし、以下のような症状が見られた場合は、歯周病の可能性があります。

  • 赤みや腫れが見られる

  • 歯磨きや食事時に出血する

  • 口臭が気になる

  • 歯がグラグラする

  • 歯並びが変わったように感じる

これらの症状は、口の中の健康状態が良くないことを示しています。特に、歯茎の出血や口臭は、歯周病の一般的な兆候です。

いつ歯医者に見てもらうべきか

上記のような症状が見られた場合は、早めに歯医者に相談することをおすすめします。特に、自己対策が効果を示さず、症状が改善しない場合や、症状が進行する場合はすぐに専門家の意見を求めるべきです。

また、自覚症状がなくても、定期的な歯科検診は重要です。歯周病は早期であればあるほど治療が容易で、自分では気づかない初期症状も専門家の目なら見逃しません。プロによる定期的なチェックで、歯周病の発見と予防に繋げましょう。

歯周病は、放置すればするほど深刻な状態に進行します。早期発見・早期治療のためにも、口の中の変化に気を付け、必要なときには専門家に相談することが大切です。健康な口腔生活のために、日々のケアと定期検診をお忘れなく。

一度でも歯周病菌、虫歯菌に感染するとどうなる?

歯周病菌は歯周病の直接の原因菌であり、歯を支えている骨をも溶かす細菌です。歯周病が進行すると歯の周りの歯肉や骨にダメージを与え、一番重篤な状態になると歯が自然に抜けてしまいます。
虫歯菌の場合は、一度虫歯を削ってきれいに治療したあと、時間が経過すると境目から虫歯菌が入り込み、ふたたび同じ所が虫歯になったり、その金属が外れてしまう2次的虫歯になってしまいます。
同じ歯の再治療を何度も繰り返すことになれば、歯の量がどんどん減少し、歯の神経を抜かなければならなくなったり、やがては歯自体を抜かなければならない運命を辿ることになるのです。つまり、一度虫歯菌に感染し、虫歯になって歯の表面に穴が開いた時点で、その歯の寿命のカウントダウンが始まってしまうのです。

歯周病の予防:自分の歯を守る、毎日の小さな努力

歯周病の予防は、日常生活での口腔ケアに重要性があります。身近な例としては、正しいブラッシング方法や、デンタルフロス、口腔洗浄液の使用があります。これらは歯周病を未然に防ぐための強力なツールです。それでは一つずつ詳しく見ていきましょう。

正しいブラッシングの方法とその重要性

ブラッシングは、歯と歯茎を清潔に保つ最も基本的な方法です。しかし、ただブラシを動かすだけでなく、正しい方法で行うことが重要です。
まずは、適切なブラシを選びましょう。柔らかめのブラシは歯茎を傷つけにくく、小さな頭部のものは口の中の隅々まで届きます。そして、歯ブラシは45度の角度をつけて、歯茎と歯の境界から歯の先端に向かって小刻みに動かします。ブラッシングは全ての表面を磨くことが大切です。上下左右、内側と外側、噛む面を忘れずに磨きましょう。

デンタルフロスや口腔洗浄液の役割

デンタルフロスは、歯ブラシだけでは取り除けない歯間のプラークを掃除するのに有効です。フロスは一日一度、特に寝る前に使用することが推奨されます。正しい使い方を学ぶことで、歯間部のケアが格段に向上します。
口腔洗浄液も歯周病予防に大切なアイテムです。これにより、口腔内全体を洗浄し、プラークの形成を抑制します。また、フッ素入りのものを選ぶと、虫歯予防にも寄与します。

これらのケアを日常的に行うことで、口腔内環境を健康に保ち、歯周病の予防につながります。自分の口腔を自分自身で守るため、正しい口腔ケアの知識と技術を身につけ、日々のケアを怠らないようにしましょう。

歯周病はお口だけではなく、様々な身体の疾患に影響がある

病気驚くべきことに歯周病菌やその病原菌が産生する毒素が、歯肉の血管を通じて体内を移動することにより、心臓病・肺疾患・血液疾患・早産などの全身疾患を引き起こすと言われており、歯周病のある人ほど血糖値が高く、生活習慣病の代名詞 と呼ばれる糖尿病にも歯周病は関係しています。
また歯周病に感染している人は感染していない人に比べ、ガンになる確率が2割弱高いというデータもあります。つまり、日本人の死因上位3位まで(1位 ガン、2位 心疾患、3位 脳血管疾患)の原因にも歯周病の存在が確認されており、言い方を換えれば、歯周病は「死をも招く恐ろしい病気」と呼べるのです。
歯周病菌が全身に悪影響を与えることは以前から報告がありましたが、最近では虫歯菌が脳出血を助長するという発表もあり、歯周病菌だけでなく虫歯菌に対しても全身疾患を予防する上で十分に注意する必要性があるのです。

歯周病の診断:一歩一歩追っていく探偵のように

歯周病は「見えない敵」です。肉眼で見ても歯が健康そうに見えても、歯茎の深い部分で悪影響を及ぼしていることもあります。だからこそ、定期的な歯科検診と、歯科医師による適切な診断が必要となるのです。

歯科医師がどのように診断するか

まず歯科医師が行うのは、あなたの口腔全体の健康を確認することです。これには、口の中を視覚的にチェックすることから始まります。歯科医師は、歯肉の色や形状、腫れや出血の有無などを詳しく見ていきます。この段階で、歯周病の兆候が見つかることもあります。

次に、歯科医師は「歯周ポケット」の深さを測定します。これは、歯と歯肉の間にある「ポケット」の深さを特殊な器具を使って計測するものです。正常な状態ではこのポケットは浅いのですが、歯周病が進行するとポケットは深くなります。

歯周ポケットとX線写真の読み方

歯周ポケットの深さは、歯周病の進行度を評価する重要な指標です。通常、3mm以下が正常とされ、それ以上になると歯周病の可能性が考えられます。深さが5mm以上であれば、すでに進行した歯周病である可能性が高くなります。

また、X線検査も歯周病の診断に重要な役割を果たします。X線写真を見ることで、歯の骨の損失や、歯と歯の間の骨の量など、目で見ることができない部分を評価することができます。これにより、歯周病の存在とその進行度をより正確に把握することが可能になります。

歯周病の診断は、これらの一連の評価と検査を通じて行われます。診断結果をもとに、歯科医師は最適な治療計画を立て、あなたの口腔の健康を守るための支援を提供します。歯周病は早期発見が重要ですので、定期的な歯科検診を受けることをお勧めします。

明日から始める、歯周病との闘い:あなたが知るべき治療のステップと成功の秘訣

歯周病と診断されたとき、多くの人は何から始めればいいのか、どのように対処すればいいのかわからないでしょう。しかし、歯周病の治療は一歩一歩、確実に進むものです。あなたが行うべき最初のステップと、成功に向けた自身の役割について解説しましょう。

歯周病治療の基本的なステップ

1つ目のステップは、専門的な口腔クリーニングです。これは「歯周治療の初期治療」や「歯石取り」などとも呼ばれ、歯科医師や歯科衛生士によって行われます。この段階で、歯垢や歯石、バクテリアを徹底的に除去し、口腔環境を改善します。

次に、口腔ケアの指導が行われます。これは患者様自身が日常的に行うブラッシングやフロッシングの方法を学び、適切なケアを行うことができるようになるための重要なステップです。
そして、状態によっては、さらに進んだ治療が必要な場合もあります。これには、歯石の除去や歯周ポケットの清掃、場合によっては手術を行うこともあります。

患者自身の取り組みと治療の成功率

治療の成功は、患者様自身の積極的な取り組みに大きく依存します。医師の指導を受け、適切な口腔ケアを日々行うことは、治療成功のための基本となります。

また、定期的な歯科診察を受け、自身の口腔状態を把握することも大切です。歯周病は一度治ったからといって油断は禁物。定期的なメンテナンスが必要な疾患です。

さらに、生活習慣の見直しも重要です。喫煙や不規則な生活、不健康な食事などは歯周病の進行を助長します。生活習慣の改善は、口腔の健康だけでなく全身の健康にも寄与します。

歯周病の治療は、医師と患者、二人三脚の戦いです。あなた自身の積極的な取り組みと、信頼できる医師の専門的な治療によって、歯周病という挑戦を乗り越えていきましょう。

ソフトタッチで歯周病を退治:スケーリングとルートプレーニングの力

外科的手術なしに歯周病を改善できる方法があることをご存知でしょうか。それが、「スケーリング」と「ルートプレーニング」です。今回は、これらの治療法がどのように歯周病と戦い、あなたの口腔健康を守るのかについて解説します。

スケーリングとルートプレーニングの違い

まず、「スケーリング」とは何かから始めましょう。スケーリングは、歯科医師または歯科衛生士が特殊な器具を使って歯の表面や歯周ポケットから歯垢や歯石を除去するプロフェッショナルクリーニングの一つです。

一方、「ルートプレーニング」は、スケーリングの一歩先を行く治療法で、歯の根の表面を滑らかにするために行われます。この手法は、歯周病が進行して歯根の表面に付着したプラークや歯石を取り除き、歯周病の進行を防ぐのに有効です。

これらの治療法がどのように歯周病に対抗するか

スケーリングとルートプレーニングが歯周病と闘う仕組みは、歯周病の原因を直接取り除くことです。歯周病は、主にプラークと歯石、そしてそれらに存在するバクテリアが引き起こします。スケーリングにより、これらの不要な付着物を効果的に除去することができます。
一方、ルートプレーニングはさらに一歩進み、歯の根の表面を滑らかにすることで、新たなプラークや歯石の付着を防ぎます。これにより、バクテリアが再び蓄積し、歯周病が再発するのを防ぐことができます。

スケーリングとルートプレーニングは、初期の歯周病に対する効果的な治療法であり、適切に行えば歯周病の進行を遅らせることが可能です。しかし、これらの治療法はあくまで一部の歯周病に対して有効なものであり、進行した歯周病に対してはさらなる治療が必要となることを忘れてはいけません。
あなたの口腔健康を守るために、定期的な歯科検診を受け、必要な治療を適切なタイミングで受けることが重要です。そして、自宅での適切な口腔ケアを続けることで、歯周病との闘いを有利に進めていきましょう。

闘いの最前線:重度の歯周病と外科的治療

歯周病が進行し、通常の治療法で改善が見られない場合、外科的治療を選択することがあります。外科的治療は、重度の歯周病に対する最後の砦とも言えます。ここでは、外科的治療の種類とその目的、そして手術後の生活改善について解説します。

歯周手術の種類とそれぞれの目的

歯周手術は、歯周病が進行し、歯周ポケットが深くなってしまった場合や、歯肉の退縮が進んでしまった場合に選択されます。主な手術の種類には、フラップ手術、骨再生手術、歯肉移植手術などがあります。

フラップ手術は、歯周ポケットの清掃を目的としたもので、歯科医師は歯肉を持ち上げて歯と歯肉の間の領域を清掃し、バクテリアや炎症を引き起こす不要な物質を取り除きます。

骨再生手術は、歯周病によって損失された骨を再生することを目的としています。手術では、人工骨や生体吸収性膜を用いて新たな骨組織の形成を促します。

歯肉移植手術は、歯肉の退縮を改善することを目的としており、患者様の口腔内の別の部位から歯肉を採取し、退縮した部分に移植します。

手術後の回復と生活改善

手術後は適切なアフターケアが必要です。痛みや腫れ、出血がある場合は医師の指示に従って対処し、必要に応じて抗生物質や痛み止めを使用します。

また、手術後は日常生活の中での口腔ケアがより一層重要となります。正しいブラッシングやデンタルフロスの使用、口腔洗浄液の使用などを習慣化し、さらに定期的な歯科検診を受けることで、再度の歯周病の発症を防ぎます。

外科的治療は、重度の歯周病に対する強力な武器ですが、それは同時に最後の手段でもあります。日常生活の口腔ケアを怠らず、早期に歯周病を察知し、適切な治療を受けることが、歯周病との闘いにおける最善の策と言えるでしょう。

継続は力:メンテナンスとフォローアップ

歯周病との戦いにおいて、最も重要なのは、治療を終えて症状が改善した後も、定期的なケアとフォローアップを怠らないことです。ここでは、定期的な歯科診察の重要性と、自宅でのケアと歯科医師の診察のバランスについて解説します。

定期的な歯科診察の重要性

歯周病は、一度発症してしまうと完全に治すことが難しい病気です。しかし、定期的な歯科診察を受け、早期に症状を発見し対処することで、症状の進行を遅らせることが可能です。

また、歯科診察によって、自宅でのケアの効果を定期的にチェックし、改善点や新たな問題を発見することができます。歯科医師によるプロフェッショナルなクリーニングは、ブラッシングやフロッシングだけでは取り除くことが難しいプラークや歯石を効果的に取り除きます。

自宅でのケアと歯科医師の診察のバランス

歯周病との戦いにおいて、自宅での口腔ケアと歯科医師の診察、この二つは手を取り合って闘う重要なパートナーです。一方だけが優れていても、効果的な結果を生むことは難しいでしょう。

自宅でのケアは、日々の生活の中で歯周病を予防し、既存の症状をコントロールするために必要な活動です。これには、正しいブラッシングの方法、フロッシング、適切な食生活、禁煙などが含まれます。
一方、歯科医師の診察は、自宅でのケアだけでは見逃すことがある初期の症状を発見したり、定期的なクリーニングで口腔内を清潔に保つために必要です。
両者をバランス良く行うことで、歯周病と効果的に戦い、健康な口腔を維持することが可能となります。日々の口腔ケアを欠かさず、歯科医師との定期的な診察を受けることが、歯周病からあなたの口腔を守るための鍵となるでしょう。

生活習慣の見直し:歯周病と生活習慣

歯周病との闘いにおいて、治療だけでなく、日々の生活習慣の見直しも大切な役割を果たします。今回は、食生活や運動が歯周病に与える影響と、健康なライフスタイルの養成と維持について語ります。

歯周病に影響を与える食生活と運動の習慣

食生活は口腔内の健康に大きく関わります。バランスの良い食事は、口腔内の細菌のバランスを整えるだけでなく、免疫力を強化し、歯周病の発症や進行を防ぐ役割も果たします。特にビタミンCやビタミンD、カルシウムなど、歯や歯茎に必要な栄養素を多く含む食品を意識的に摂ることが推奨されます。

また、適度な運動は血行を促進し、口腔内の免疫力を高めます。これにより、歯周病の発症を防ぐことが可能です。週に23回、軽いウォーキングやストレッチングなどを取り入れると良いでしょう。

健康なライフスタイルの養成と維持

歯周病は生活習慣病の一つであり、治療後も日々の生活習慣が再発を防ぐカギとなります。まず、口腔ケアの習慣を確立しましょう。適切なブラッシングとフロッシング、口腔洗浄液の使用など、毎日のケアが重要です。

次に、食生活の改善と適度な運動を続けること。これらは体全体の健康を高めるだけでなく、歯周病から口腔を守るための防衛ラインとなります。

そして、定期的な歯科診察を欠かさないこと。これにより早期発見、早期治療が可能となります。

最後に、喫煙は歯周病の進行を促進するため、禁煙を強く推奨します。

健康なライフスタイルを養成し、維持することで、歯周病との闘いに勝つチャンスが高まります。健全な生活習慣は、歯周病だけでなく、全身の健康を保つための大切な要素です。

治療成功への道のり:患者さん自身の役割

歯周病治療は一時的なものではなく、継続的なケアとコミットメントが求められます。患者さん自身がアクティブに参加し、自己管理に取り組むことが治療成功のカギとなります。

自己管理の重要性とその方法

歯周病治療において、歯科医師の役割は重要ですが、それだけでは不十分です。歯科医師と定期的に会う時間は限られているため、毎日の自己管理が非常に重要となります。
自己管理の第一歩は、適切な口腔ケアです。毎日のブラッシングとフロッシングを怠らず、可能であれば毎食後に口をすすぐことが推奨されます。また、ブラッシングの方法を見直すことも効果的です。適切な方法でブラッシングを行うことで、歯垢をより効果的に取り除き、歯周病を防ぐことができます。
さらに、食生活や運動習慣の見直しも自己管理の一部です。バランスの良い食事を心掛け、適度な運動を行うことで、体全体の健康を維持し、歯周病に対する抵抗力を強化します。

歯周病治療への長期的なコミットメント

歯周病治療は一時的なものではなく、生活習慣病と同じく長期的な管理とケアが必要です。患者様自身が治療プロセスにコミットし、継続的にケアに取り組むことが、治療の成功につながります。
歯周病が再発しないようにするためには、定期的な歯科診察を続け、状況をチェックすることが大切です。そして、必要に応じてプロのクリーニングや治療を受けることで、健康な口腔環境を保つことができます。
また、治療プロセスは時に困難かもしれませんが、ポジティブなマインドセットを保つことが重要です。自分自身の健康のため、そして笑顔のために、歯周病との戦いを続けることが大切です。患者様自身がアクティブに参加し、コミットメントを持つことで、歯周病を克服し、健康な口腔環境を手に入れることが可能になります。

永遠の戦い:健康な歯と口腔のために

あなたが口腔の健康を維持し、歯周病と効果的に戦うための旅は、ここで終わりではありません。それはむしろ、あなたの生涯にわたるコミットメントの始まりであり、その意識はあなたの口腔の健康、全体的な健康、そして幸せな生活に直結しています。

歯周病の治療と予防は永遠のテーマ

私たちの口腔は、様々なバクテリアや疾患の発生場所となります。歯周病はその一つであり、放置すると歯の喪失や全身の健康に影響を及ぼす可能性があります。しかし、適切な予防策と治療を行うことで、これらのリスクを大幅に減少させることができます。ブラッシング、フロッシング、定期的な歯科診察、そして健康的なライフスタイルを維持することが、この永遠の戦いで成功するためのカギとなります。

最終的なメッセージとエンコーラージメント

歯周病は進行すると深刻な問題を引き起こしますが、それは必ずしも不可避な結果ではありません。適切な予防策を講じ、必要な治療を行うことで、その進行を止め、健康な口腔を取り戻すことが可能です。

また、患者様自身が日々のケアに意識を向け、医師と一緒になって戦うことの重要性を忘れないでください。歯科医師はあなたの口腔の健康をサポートするパートナーです。あなた自身の役割と医師の役割が一体となって、健康な口腔の維持につながります。

私たちの口腔の健康は、日々の努力と継続的なケアによって成り立っています。私たち一人ひとりがその重要性を理解し、実践することで、歯周病という課題に立ち向かい、勝利することができます。その戦いは永遠のものかもしれませんが、あなたがその戦いを選ぶことで、口腔の健康だけでなく、全体的な健康と生活の質の向上を達成することができます。あなたの旅はここから始まります。あなたの口腔の健康を守る戦いに、全力を尽くしましょう。

保険適用内の歯周病治療

当院の歯周病治療の特徴と治療の流れ
当クリニックでは、患者様のライフスタイルやご事情、お考えなどを尊重して、歯や歯ぐきの良い状態を長く保っていける歯周病治療や予防を行っています。特に症状が出る前に的確な処置を行うことで、予防につなげることを重視しています。

治療の流れ

1.歯みがき指導

ケア歯周病予防と治療では、最も重要であり、基本となるものです。正しい磨き方を完全にマスターしてそれを毎日行うことは、実は驚くほど難しいのです。当クリニックでは、ご自分に合った歯ブラシの選び方、持ち方、毛先の当て方や動かし方、力の入れ方などをきめ細かくご指導しています。模型を使ったご説明や、汚れを赤く染めて磨き残しをチェックするなど、わかりやすくお伝えすることを心がけています。実際にちょっとしたコツや、ご自分の癖を知ることで歯や歯ぐきの状態はかなり改善します。そして歯磨きで最も重要なのは、定期的に点検してその都度、有効なアドバイスを受けることです。当クリニックでは、モチベーションにも留意しながら楽しく続けられるサポートを心がけています。

2.歯石除去

超音波や手用器具などを用いて歯石を破壊し、洗い流します。歯肉の中の深い溝に付着した歯垢も除去します。すべての歯垢除去が終了したら、歯周組織を再検査して改善状況を確認します。

3.歯周外科

深い歯周ポケットがあり、通常の歯石除去だけでは満足できる改善が見られない場合に行います。麻酔して歯肉を開き、深い場所や歯の間にある歯石を除去します。歯槽骨がでこぼこの場合にはその形を整えることで清掃しやすい状態にして歯周ポケットを減らします。なお、保険外治療ですが歯槽骨や歯肉をある程度増やせる歯周組織再生療法が可能な場合もあります。

4.修復物の見直し

詰め物や被せ物、ブリッジ、入れ歯などの修復物に隙間があると、そこに細菌がたまりやすく、炎症が治りにくい・再発しやすくなります。修復物の適合が悪く歯周病リスクが上昇している場合には、除去して新しく作り直すことをおすすめする場合もあります。

5.噛み合わせの調整

噛み合わせが悪いと、特定の歯に強い力がかかる・間違った方向に力がかかるといったことが起こります。歯周病が進行すると歯槽骨が吸収されていきますが、噛み合わせが悪いと無理がかかる部分の吸収が加速します。それを予防するため、噛み合わせのチェックや調整を行っています。

6.抜歯

当クリニックの基本的な診療方針は、抜歯を極力避け、残せる可能性のある歯をできるだけ残すことです。とはいえ、歯周病が重度にまで進行してしまった場合、無理に残すことで隣の歯までダメージを広げることがありますし、炎症が顎の骨にまで及んでしまう可能性もあります。そうした場合には、周囲の歯とそれを支える骨を守るために、抜歯が必要不可欠な場合もあります。できるだけ残せるようあらゆる可能性を検討しますし、抜歯が必要と判断された場合には十分にご説明し、ご納得いただいた上で行っています。

7.生活指導

歯磨きなどのホームケアだけでなく、食生活や食習慣も歯周病に大きく関係しています。歯周病は炎症ですから、免疫力も進行に影響します。そのため、免疫力を落とさない生活習慣も重要です。また、喫煙は歯周病の進行に大きくかかわっており、治療の効果を上げにくくすることが実証されているため、禁煙もおすすめしています。
こうした内容についても、ライフスタイルやお考えに合わせた無理のない改善方法をアドバイスしておりますので、ご相談ください。

8.全身疾患の連携治療

当クリニックでは単に口内だけを診るのではなく、全身的な視点で治療を行っています。全身疾患は歯周病菌への抵抗力を下げて悪化させるため、全身疾患がある患者様にはそれに合わせた治療が必要です。そのため、内科などと連携した治療も行っています。特に糖尿病は歯周病を悪化させる大きな要因ですし、血糖コントロールと歯周病の的確な治療で全身状態が改善するケースが多いこともわかっています。
また、服用されている薬の影響で歯肉の腫れが起こることもあるため、飲んでいるお薬についてもくわしくおうかがいしています。

9.症状が強い場合

痛みや腫れなどの症状が強く出ている場合も、抗生物質の処方や噛み合わせの調整で症状を緩和させることができます。膿が歯肉にたまって強い痛みがある場合には、切開して膿を排出させることで痛みを解消します。また、歯が大きく動いて食事にお困りの場合には、一時的に複数の歯を固定する応急処置を行うなどで対応可能です。

10.メンテナンス

歯周病はとても再発しやすい病気ですし、再発を繰り返しているとどんどん重い症状に進み、健康な歯を次々に失ってしまう可能性があります。そのため歯周治療の終了後は、定期的なメンテナンスが必要です。
メンテナンスでは、主に歯周組織の状態を検査し、歯石やプラークを除去します。メンテナンスの頻度は、口内の状態によって変わり、毎月必要なケースもありますし半年に1度でよい状態を保てるケースもあります。
歯周病の治療終了はゴールではなく、良い状態を保つためのスタートです。生涯、ご自分の歯でおいしく食事できるよう、いっしょにがんばっていきましょう。

当院で行っている自費による高度な歯周病治療OHP

上記のような保険適用内の歯周病治療では、治療回数や時間の制限、使用できる薬剤や器具の制限などの様々な制約から、必要最低限の「歯周病・虫歯」の治療しかできないのが現実です。

当院では口腔内環境のリセットと健康な状態を維持・管理できるように「OHP=オーラル・ヘルス・プログラム」という、お口の中や体内に潜んでいる歯周病菌・虫歯菌を徹底的に除菌する予防管理システムを行っております。
OHPとは、熟練した技術を持つ歯科衛生士がお口の中のプラーク、デンタルバイオフィルムを徹底的に取り除き、優れた殺菌作用を持つ安全化二酸化炭素でお口の中の細菌を除菌し、専用の薬剤を用いてお口の中や全身に入り込んだ細菌を除去する除菌療法です。特に歯周病菌は、全身の様々な病気の原因の一部とされており、その原因菌を抗原中剤・抗生剤・抗真菌剤を内服することにより体内の細菌をも拡底的に除菌します。

OHPの5つのメリット

  1. 口腔内のリスクの徹底的な軽減と健康な身体づくりが可能
  2. 家族へうつさないので、家族の健康への配慮ができる
  3. プラーク(歯垢)の付着しにくい口腔内に
  4. 細菌レベルでのリスクコントロールができる
  5. 生涯自分の歯で生きていくための健康維持の実現

OHPによる口腔内検査

お口の中を徹底系に検査します。

  • 位相差顕微鏡
  • パノラマレントゲン
  • 唾液検査
  • バナペリオ(歯周病菌の有無検査)

OHPによる記録・処置

お口の中の状況を逐一記録し、状況にあった最適な処置を行います。

  • 口腔内写真撮影
  • 歯周診断
  • 二酸化炭素を用いたイリゲーション、SC・SRP
  • リナメルを用いたPMTC
  • シトラバスターによる歯周病菌の除去

内容と評価

歯周ポケット検査
口腔内写真・顕微鏡

OHP後のメンテナンス

メンテナンスはOHP(内科的歯周療法)を終了された患者様専用の特別メニューであり、歯周病菌・虫歯菌の再感染予防に必要不可欠なプログラムです。

約60分 11,000円(税込)

施術内容

  • 磨き残しを染め出し液にてチェック
  • 洗浄
  • 抗真菌剤でのブラッシング ロ 二酸化塩素を用いた超音波クリーニング ロ 舌クリーニング
  • クリーニングジェルを用いた歯面清掃 ロ フロッシング
  • トリートメントペーストを用いた歯面清掃
  • 歯肉マッサージ ロ フッ素塗布

OHP受診の費用

初等度:5回コース 107,800円(税込)
中等度:7回コース 140,800円(税込)
重度:9回コース 173,800円(税込)

※患者様ひとりひとりの口腔状態に合わせて、必要な回数と費用をご提供させていただきます。

OHPの注意点

  • OHPはすべての処置が連動して適切な効果を生み出す治療法です
  • OHPを受診されている間は決められた生活習慣をお守りください
  • 歯周病の治療はできる限り短期間に行うことが重要です
  • 糖尿病など全身疾患をお持ちの方は必ずお申し出ください
  • ご家族間の感染など患者様ご自身以外の歯周病菌に注意してください
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